私が最後に勤めていた支店は、拠点が群馬と新潟にありました。
新潟はまだ歴史が浅いため、支店の出先という形で
所長が切り盛りをしてくれていました。
まず最初に思ったのが、
所長にすべてを打ち明けなければいけないという事です。
上層部には伝えたので後は、いかにして
後を濁さずに身を引くのかという事に注力が必要です。
次の新潟への出張を控え、所長を食事に誘いました。
後から聞いた話ですが、なんとなく嫌な予感がしていたと言っていました。
所長
「今日は何かあるんですか?」
私
「・・、いや。」
何かを察していたのかしきりに、何かあるんですか
と聞かれるのには少々戸惑いを感じましたが、
食事も一通り食べたかなと思うところで切り出しました。
私
「会社を辞めようと思う。」
所長
「・・・・。」
「ここに来た時からそんな気がしていました。」
私は素直に、ダメマネージャーっぷりを嘘偽りなく全て話しました。
所長
「私は、今までの上司で一番尊敬していたんですね。
過去いろいろな上司の方と仕事をさせて頂いたんですが、
本当に支店長が僕の中では一番なんです。
そんなことしていた話を聞いてもそれは変わりません。」
私
「!!」
感動してしまった私は、部下の前でボロボロに泣いてしまいました。
所長も男泣きでみっともない風景だったと思います。
しかし、このときに感じた喜びは忘れることはないでしょう。
そして、人からの言葉がこれほどありがたく感じたのは久しぶりでした。
所長の人柄がそのまま出たのだろうと思います。
会社を辞める時も、後に信頼できる人が控えていれば
そんなに心配することはありません。
経験は重要ですが、経験だけで仕事の力量が計られるわけではありません。
仕事に無くてはならないものは、一生懸命さや素直さだと思います。
経験を積んで多くの人は素直さや一生懸命さがなくなりますが、
関係なくそれらを持ち続けることができる人が最後に笑うのだと思います。
所長に限らず、素直さと一生懸命さを持っている人材は
苦労しながらも、きっと成功してゆくことでしょう。